トラブルを想定していないご家庭ほど要注意!
司法書士おと総合事務所のサイトをご覧いただき、ありがとうございます。
さて、突然ですが、こちらのサイトをご覧くださっている方の中には、サスペンスドラマや推理小説がお好きな方もきっと多いと思います。
物語では、多額の遺産を巡って殺人事件が起きる…なんていうのはとてもよくある設定。
ですから、「お金持ちって大変」「遺産が多いと揉めるのね」「うちにはそんなにお金がないから大丈夫」・・・相続に関して、漠然とそんなイメージをお持ちの方は非常に多いようです。
でも実は、この認識にはちょっとした誤解があります。
「平成28年度司法統計」によると、相続関連で自分たちで解決できず、裁判所に持ち込まれた件数はなんと約12,000件。
表面化していないケースはこの数字に入っていないので、それも合わせると、かなり多くの人が相続で頭を悩ませていることを想像していただけるでしょう。
では、こうしたトラブルに巻き込まれている人たちの多くが持つ共通点、なんだと思いますか?
お金持ち? それとも、たまたま欲深い相続人が集まってしまったのでしょうか?
・・・答えは、あなたと同じように「まさか、うちに限って相続トラブルはあり得ない」「親戚も兄弟もみんな仲がいいから大丈夫」 そう思っていた、ということです。
相続トラブルのほとんどは、生前から“揉めないための準備”をしておけば防ぐことができるものです。
ですから、「うちは相続で一悶着ありそうだ」と予想できるご家庭ほど、それなりに相続のための用意をしています。
不慮の事故など、突然お亡くなりになった場合を除き、準備をしていなかったのは、心のどこかに「うちには関係ない」という安心感があったから。
さすがに物語のような殺人事件に発展するケースはほぼないと思いますが、かといって、あなたが絶対に相続トラブルに巻き込まれない、という話でもないのです。
相続財産の不動産がトラブルの火種
さて、もう少し詳しくみていきましょう。次のグラフをご覧ください。
これは遺産の価額別に相続トラブルの件数を表したグラフです。
注目すべきポイントは、遺産が5,000万円以下のトラブルが全体のおよそ75%以上を占めているということ。
この価額には土地や建物なども含まれていますので、たとえ預貯金などのわかりやすい財産が0だとしても、首都圏(とくに23区内)に不動産を所有しているだけで、相続トラブルに巻き込まれる可能性が十分にあることがわかります。
そして、この“不動産”にはもう一つ、トラブルの火種となる性質があります。それは、不動産が“分けにくい財産”であるということです。
10,000円を5,000円ずつに2人に分けるという話なら誰の目からみても公平であると言えますが、一つしかないモノを分けるとなるとちょっと話はややこしくなりますよね。
不動産のように分けにくい財産は、分割と同時に、相続人たちの「自分は損をしたくない」「平等とは思えない」「なぜあの人だけがもらえるの?」こんな感情の調整を行う必要が出てくるのです。
簡単な例をあげると、不動産がある場合は下図のような分割方法をします。
このように、分けられない遺産をもらえない相続人(Bさん)には、預貯金(またはすぐにお金に換えられるもの)で補填をするわけです。これでお互いが納得できれば、分割協議はとてもスムーズに進みますね。
ですから、ちょっと乱暴な言い方をすると、不動産と同等かそれ以上の他資産があれば揉めにくい、とも考えることができます。
では、もし上図のケースで預貯金が500万円しかなかったら、どうなると思いますか?
Bさんは、すんなりAさんに不動産を譲るでしょうか。譲ってもらえないとしたら、Aさんはこれから先、今の家に住み続けることができるのでしょうか。
先ほどの円グラフで、相続財産5,000万円以下で揉め事が多い理由は、まさにこの“十分な補填材料がないから”なのです。
あなたのご家庭はいかがですか? トラブルの心配がないくらい、お金がたくさんありますか?
安心してください、トラブル回避の方法もちゃんとあります
司法書士として様々な案件を担当していると、つくづく「相続=遺産分割とは、相続人たちの感情の調整」であると感じます。
調整がうまくいかずにトラブルにまで発展してしまうと、とても悲しい現実が待っています。
- 恒例行事だった親戚の集まりがなくなる
- 仲の良かった兄弟が顔も合わせなくなる
- 故人にまつわる最後の思い出が、揉め事の嫌な思いでに塗り替えられる
「いい大人がこんな風になるだろうか?」「血縁関係だからそんなことにはならないはずだ」
そう思うかもしれませんが、実は逆です。
大人だから一度揉めると関係を修復するのが難しいし、身内だから遠慮のない泥沼の争いになってしまうのです。本当は、故人に縁のある相続人たちこそ、亡くなった大切な人の思い出を一緒に語り合える関係のはずなのに・・・
相続の手続きだけなら、手間と時間をかければご自身たちでも行えるかもしれません。ただ、当事者が行う上で難しいのが「公平性をいかに保つか」という問題です。
この問題をクリアし、トラブルを回避する一番シンプルな方法が、どの相続人にも中立な第三者を交えて分割協議を進めるということ。
私たちのような専門家は、その“第三者”の役割を担いながら、みなさんの相続手続きのサポートを行っているのです。
では次に、相続手続きについてもう少し詳しい内容をご紹介いたします。