遺言と成年後見人は相続で困らないための一歩です
財産を渡す人。
財産を受け取る人。
どちらも円満に気持ちよく、後々まで「よかった」と思える相続をしたいものです。
しかし、あなたもお聞きになったことがあると思いますが、どうも人はお金がからむと冷静でいられなくなり、財産が多くても少なくても「少しでも得するため」という気持ちが先立つようです。
その結果、悲しいことに気持ちの良い相続にならず、相続する人同士がこれからの人生でいがみ合うこともあるようです。
これではあまりにも、渡す人、受け取る人どちらも残念ですよね。
そこで今回は相続の現場を生で見てきたからこそお話できる、残念で悲しい相続にならないための方法をお伝えしていきます。
1: 相続でよくある質問
相続の相談でよくある質問があります。
- ひとり暮らしです。もしものとき、財産がどうなるのか不安です。
- 財産を平等に分割したいと思っています。でも、相続人の一人が認知症で判断できません。
- 子供が障害を持っています。私がもしものとき、きちんと子供に残せるでしょうか。
- 夫婦二人で子供はいません。どちらかが死亡したとき、伴侶が不自由しないか不安です。
- 自営業です。私が死んだとき遺産を分割すると事業ができません。どうしたら良いでしょうか?
- 財産のほとんどは土地と家です。私が亡くなったとき妻は安心して住み続けられますか?
- 先妻の間に子供が二人います。私が死んだとき今の妻や子供ともめないでしょうか?
- 普段から兄弟姉妹が仲良くありません。このままではどうなるか心配です。
- 相続人の中に、10年前から行方のわからない子供がいます。どうなりますか?
- 財産はほとんどありません。でも、子供の配偶者や、配偶者の親族が少ない財産を狙っているようです。もめないようにできないでしょうか。
このような質問がよくあります。
この中にあなたも思い当たることはありませんか。
これらのことを完璧ではなくても、ある程度回避するためには、相続を放っておかずに、生前にあなたが遺言書を作成しておくことが重要です。
また、すでに認知症や障害によって、ご自身で判断ができない、または意志疎通が難しい相続人がいらっしゃる場合には、あなたがもしものときにも安心して任せられる成年後見制度を活用することがいいでしょう。
それではまず、遺言書についてお話していきます。
2: 遺言書のメリット
遺言書は、配偶者やお子さんに不安や心配をさせず、また遺産相続した後もイヤな関係性にさせないために、やっておくべきことだと思います。
それでは遺言書のメリットを見ていきましょう。
- あなたの希望が叶えられます
生前の感謝も含めて、あなたの気持ちを伝えることができます。
また、家族同然である大切なペットのことも頼めるでしょう。
葬儀やお墓についても、あなたの希望が叶えられます。
- 人間関係を守れる
相続人同士の人間関係を守れます。
また、あなたの伴侶をこれからも不自由なく暮らせるように、死んでからも守ることができるでしょう。
- 相続手続きが楽になる
不動産の名義変更などは遺言書があればスムーズに手続きできます。
- 争わなくて済みます
これが大きいでしょう。
遺産相続は視点を変えると、財産の多い少ないは関係なく突然の不労収入です。
どうしても人間は不労収入に魅了されやすいですし、1円でも10円でも得しようと行動してしまう方もいらっしゃいます。
このようなことが起こると、相続の話が出るまでは仲の良かった兄弟姉妹も、突然険悪になることも考えられます。
また、兄弟姉妹はあまり意識していなくても、彼ら彼女らが結婚していると、その配偶者があれこれ言いだし、話をややこしくしてくる人もいないとは言えません。
このようなことに巻き込まれないためにも、遺言書があれば争いを防ぐことができます。
では、反対にデメリットは何でしょうか?
それは、、、
遺言書を作ることだと思います。
遺言書を日常的に作っている人はいません。
余程、特別な環境にいらっしゃる方でないと、日常的に書くものではありませんし、目にするものでもありません。
ですから、遺言書を作ることは一般的に特別なことであり、特別なことは「やりたくない」ことでもあります。
このようなデメリットがあるため、遺言書を作っておけばいいのはわかるけれど、また今度、また今度となっている方もおられるのでしょう。
3: 遺言について知っておくべきこと
遺言書には3つの遺言書があることを覚えておいてください。
(1)公正証書遺言
公証役場という場所へ足を運び、証人2名以上の前であなたが遺言を話します。
話した内容を公証人が筆記し、その内容を公証人があなたと証人2名に読み聞かせてくれます。
筆記された内容を閲覧し、内容の正確性を確認した後、署名と捺印を行うことで完成します。
公正証書遺言は、公正役場という公的な場所で作成しているため(公文書です)、いざ遺言の内容を実施しようとしたときに、裁判所で検認と呼ばれる手続きをする必要がありません。
公正役場へ足を運ぶ手間は必要ですが、遺言を残すなら、この方法が一番です。
(2)秘密証書遺言
公正証書遺言と同じく公正役場へ行って作成します。
ただし、公正証書遺言と違うところは、遺言の内容を公証人や証人は知らないというところです。
この方法はあなたしか遺言の内容を知りません。
ですから、遺言書が開封されるまで、誰も内容を知ることがないのです。
プライバシーの保護という部分では良い方法ですが、遺言書の内容を実施しようとしたときには、公正証書遺言と違い裁判所の検認が必要となります。
(3)自筆証書遺言
ご自身が自筆で書いたものに捺印する遺言です。
一般的にテレビドラマなどで見かける遺言書ですね。
この遺言書は、かならず遺言を残す方の自筆でないといけません。
ワープロや代筆はNGです。
そして、この遺言書の場合に気をつけておかないといけないことは、効力のある遺言書の形式になっているかどうか。
ここを注意してください。そうしないと、せっかく遺言書を残しても無効になることもあります。
4: 遺言の保管法
遺言はきちんと保管しておかないと意味がありません。
公正証書遺言の場合、公正役場で作成していますから、遺言書の原本は自動的に公正役場で保管されます。
あなたは相続人に「遺言書は公正役場にあるから」と伝えるだけでOKです。
(相続人が公正役場へ行って遺言の内容を見たいといっても見せてもらえません)
自筆で遺言書を作った場合、守秘義務を持っている司法書士や弁護士に保管を依頼することができます。
遺言書の存在を相続人にも、親族にも知られたくない場合に有効です。
映画などでありますが、遺言書を親族や相続人に保管してもらうのは現実的ではありません。
内容の改ざんや隠蔽などが行われる可能性があります。
円満に相続してほしいから遺言を残したはずなのに、紛争の火種になってしまうこともあります。
5: 成年後見も視野に入れておくと安心
遺言で相続の内容を伝えたとしても、相続人の中に認知症や障害をお持ちの方がいらっしゃり、意志決定が上手くできない場合、相続したものを横取りされ不幸になるんじゃないかと心配される方もいらっしゃいます。
このような心配がある場合には、成年後見人制度を活用することで、あなたが心配している方の財産を守ることができます。
成年後見人には、親族や兄弟は選ばれない傾向があります。
そのようなケースでは第三者の専門家(司法書士や弁護士が多いです)が裁判所から選任され、あなたが心配されている方をサポートしていきます。
遺言と同時に、このような不安や心配をお持ちの場合には、一緒に相談されることをおすすめします。
6: まとめ
相続を円満に済ませたい。
あなたの大事な人が、いつまでも不自由なく暮らしてもらいたい。
このような思いを実現できるのが、遺言であり成年後見制度です。
どちらも私たち「おと総合事務所」は司法書士という相続の専門家として、いつでもあなたのご相談をお聞きする用意ができています。
また今度と思いながら遺言をつくっておられないなら。
残された配偶者やお子さんのことで不安をお持ちなら。
今すぐ、お問い合わせください。
あなたの不安や心配を丁寧にお聞きし、あなたにあったアドバイスや提案をお伝えさせていただきます。