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【保存版】なぜ一般人が遺言書を書くと無効になるのか?遺言書の書き方や要件をストーリーで覚えよう!

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手書きの遺言書(自筆証書遺言)は気軽に書ける。

 

でも、書き方が・・・

 

「遺言書が無効になったり、もめ事の火種になったりするケースも多い」と聞いた。

このように考え、一歩踏み出せない人もいるでしょう。

 

遺言書を書くうえでの「書き方のコツ」や「無効になりやすいポイント」を具体的なストーリーを使い、ご紹介します。

 

1 自筆証書遺言の書き方や要件を思い出そう

思い出した人の画像

自筆証書遺言とは、どのようなものだったでしょうか。それは内容のすべてを自分で書いた遺言書です。自筆証書遺言のルールはこれだけです。

 

シンプルでわかりやすいですね。

民法968条
自筆証書によって遺言をするためには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに印を押さなければならない

2 以下省略

 

2 よく間違える遺言書のポイントをストーリーで覚えよう!無効にならないために!

 

説明している人

登場人物 : 長男・二男・長女    ※この3人が相続人です。
被相続人 : 父

子供たち3人は、父の葬儀を終え、父の書斎を整理していました。

 

二男は、遺品を「捨てるもの」と「大切に保管するもの」とに分けているようです。机の中を整理していると「スーパーのチラシ」が一枚、入っています。

 

二男がチラシをゴミ箱に入れようとした「その瞬間」、長女が何かに気づきます。

 

え! これって!!』

 

長女が驚いた表情を浮かべています。チラシの裏に遺言書と書かれた文字が見えています。そこには、次のように書かれていました。

 

遺言書

 

遺言者父(父の氏名)と遺言者母(母の氏名)は、次のとおり遺言する。

 

1.全財産をヘルパーの法務花子(昭和30年1月1日生)に相続させる。

 

平成30年7月吉日

 

東京都台東区雷門〇丁目〇番〇号

遺言者 父の氏名  認印

遺言者 母の氏名  認印

 

 

 

え~~~!!!

3人が同時に叫びました。

 

この3人は、遺産をもらうことはできないのでしょうか。

一つ一つ検証していきましょう。

 

2.1 チラシの裏に書いた遺言書は無効なのか

チラシの裏に書いた遺言書は、そもそも有効なのでしょうか。実は、チラシの裏に書いた遺言書でも有効なのです。自筆証書遺言の要件を振り返ってみましょう。

 

自筆証書によって遺言をするためには、遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

 

「ふむふむ」

 

すべての内容を自分で書かないといけないことはわかりました。しかし、何に」書かなければいけないという指定がありません。

 

そうなんです。遺言書は、「何に」書いてもいいのです。「ノートを破ったもの」や「コピー用紙」でもかまいません。

 

ただし有効とはいっても、争いの火種になる可能性はあります。ふつうは、チラシの裏に遺言書を書くとは思いませんよね。

 

  • 「もしかしたら、他の誰かが書いたのではないか」
  • 「これは偽造だ」

 

このように誰かが言い出すかもしれません。チラシの裏に書いた遺言書も有効ですが、争いを避けるためにも耐久性の優れた、偽造とは疑われないような用紙に書くのが一番いいでしょう。

 

2.2 遺言書の日付はどこまで特定すればいいのか

本遺言書に書かれた日付をみると、吉日となっています。これは、有効なのでしょうか。実はこのような書き方は「無効」です。

 

ちょっと厳しくないかな?

 

このように思いますよね。7月に本人が書いたことは間違いないのに無効なんですよ。有効にしてあげてもいいような気がしてしまいます。

 

でも、これにも理由があります。

 

法は遺言書に、なぜ日付を要求しているのでしょうか。それは、次の2点を明らかにするためです。

 

  1. 遺言書を書いた当時、遺言能力があったのか
  2. 複数枚の遺言書が出てきた場合、どれが最新なのか

 

※遺言能力とは、遺言を書くために求められている判断能力のことです。

 

もしも遺言書が2通出てきたら、どちらの内容を信じて進めますか。

 

自分に有利なほう

 

その気持ちもわかりますが、それはダメです。日付が新しい最新の遺言書が「優先」されます

 

ただし、内容が矛盾していなければ「どちらも有効」です。

例えば、

1枚目の遺言

A不動産を長男に相続させる

2枚目の遺言

B銀行C支店に有する普通預金を二男に相続させる

と書かれていたとします。どこにも矛盾がないですね。ということは、どちらも有効です

 

次は、

1枚目の遺言

A不動産を長男に相続させる

2枚目の遺言

A不動産を二男に相続させる

これはどうなるでしょう。

 

長男が不動産を相続すれば二男は相続できません。逆も同じです。このケースでは、日付の新しいものが優先されて、古い遺言書は撤回されたものと扱われます。

 

このような理由から「日付がない遺言書は無効になる」のです。

 

ということはですよ。書いた日が特定されていればいいわけです。もしも「平成30年秋分の日」と書かれていた場合はどうでしょうか。これは日付が特定されているので、有効と判断せざるを得ないでしょう。

 

ただし、少しでも不安は取り除くべきなので、作成年月日は正確に記載をするようにしてください。

 

2.3 実印を押していない遺言書は無効なのか?

遺言書に実印が押されてなくても、いいのでしょうか。遺言書に押す印鑑は、認印でも構いません。遺言書のルールを思い出してください。

 

これ(遺言書)に印を押さなければならない」このような規定になっています。

 

「印」としか書いてありません。どこにも実印を押せとは書いてありませんね。ということは、認印でもいいということです。

 

ただし、これも争いを避けるためには、実印を押すといいでしょう。

 

過去の判例で、拇印でも有効な遺言書と認められたことがあります。法が「」を要求している理由は、

 

  • 本人が書いたこと
  • その内容が、本人の自由な意思に基づいていること

 

このふたつを担保するためです。

 

裁判所は、拇印でもこの要件を満たしていると判断しました。ただし、これも上記と同じように後々の争いを考えると避けたほうがいいでしょう。

 

2.4 夫婦の共同名義の遺言書は無効なのか

遺言書をよく見ると、夫婦の連名になっていますね。夫婦ふたりが同一の用紙に遺言書を書いてもいいのでしょうか。

 

このような遺言書は無効です。遺言書には次のようなルールもあります。

 

民法
遺言は、ふたり以上の者が同一の証書ですることができない

 

なぜ、このようなルールがあるのでしょうか。遺言書とは、「遺言者の最後の想い」です。本人の想いを尊重するためにも、遺言書はいつでも撤回できなければなりません。

 

しかし、夫婦ふたりで遺言書を作れば、その撤回もふたりで足並みをそろえてしなければならず、ひとりの考えで自由に撤回することができません。

 

そこで、ふたり以上の者が同一の用紙で遺言をすることを法は禁止しています。撤回については、もう少し説明をしたいと思います。

 

2.5 遺言の撤回について

遺言書は、いつでも撤回することができます。でも、注意してください。遺言書の撤回にも「ルール」があります。そのルールに従わないと、撤回が認められません。ただルールといっても難しくはないので安心してくださいね。

 

代表的な撤回のルールは次の3つです。

 

  1. 新しい遺言書に、前の遺言書は撤回したと書く
  2. 前の遺言と抵触する、遺言や生前処分をする
  3. 遺言書を破棄する

 

公正証書遺言の場合は「3の破棄」は遺言書の撤回として認められませんので注意してください。

ちなみに、ここで言う遺言書の破棄とは「どのような行為」でしょうか。

 

破り捨てる

 

これは、わかりやすいですね。では、これはどうでしょう。ひとつ例を出します。

あなたの目の前にペライチの遺言書があると思ってください。

その遺言書には、文章の全体にかかるように左上から右下へ斜線が引いてあります。

斜線は赤色のボールペンで書かれています。

 

これは撤回にあたると思いますか?どうですか。考えましたか。これは実際にあった事例ですが、そこでは遺言書の破棄にあたり撤回したものとみなされました。

 

最高裁判所が、このような判断を下したのです。

この斜線を引く行為が、一般的にどのような意味を持っているのかという点に着目してこのような判決が出ました。

 

面白いところは、この裁判の第1審、第2審は、遺言書の破棄には当たらないと判断しています。

最高裁(さいこうさい)で逆転しました。

 

2.6 相続人以外の者に「相続させる」と書いた遺言の解釈

相続人でないヘルパーに、「相続させる」と書いた遺言は、遺贈したものとみなされます。

裁判所も、できる限り被相続人の意思を尊重したいと考えています。

 

遺言者は、どのような気持ちでこの遺言書を書いたのでしょうか。次のどちらだと思いますか。

 

  1. 相続人である子供たちをビックリさせるために冗談で書いた
  2. ヘルパーに財産をあげたかった

 

後者の意味で書いたと読み取るのが自然ですね。裁判所もそのように判断します。

 

2.7 結論!この遺言書の有効性

本ケースの遺言書は「無効」と判断することになります。

 

子供たち3人は、通常の相続手続きをして、相続財産を引き継ぐことになるでしょう。

 

2.8 おまけ|手書きの遺言書の要件緩和(2019年1月13日から施行)

手書きの遺言書は、そのすべてについて自分で書くことが求められていましたが、財産目録についてのみその要件が緩くなりました。具体的には財産目録は印字したものでもよくなったのです。

 

たとえば、次のような遺言書があったとします。

遺言書

 

遺言者父(父の氏名)は、次のとおり遺言する。

 

1 別紙物件目録記載の不動産を長男〇〇に相続させる。

2 別紙通帳の写し記載のゆうちょ銀行(浅草支店)の預貯金を二男〇〇に相続させる。

 

平成31年1月15日

東京都台東区雷門〇丁目〇番〇号

遺言者 父の氏名  

この遺言書の本文は、これまでと同じようにすべて手書きで書く必要がありますが、次の「物件目録」と「通帳の写し」に関しては手書きである必要がありません。

物件目録

 

第1不動産

1 土地

所在 練馬区〇〇四丁目

地番 1111番11

地目 宅地

地積 152・54㎡

2 建物

所在   練馬区〇〇四丁目1111番地11

家屋番号 1111番11

種類   宅地

構造   木造2階建

床面積  1階 68・54㎡

2階 54・23㎡

父の氏名 

通帳の写し

 

 

 

 

 

通帳の写し

 

父の氏名 

この財産目録は手書きである必要がなくまりました。

 

注意するポイントは、各ページに「署名」と「押印」をしなければいけないということです。もしも両面に印字したような場合は両面にそれぞれ「署名」と「押印」をします。

 

3 自筆証書遺言の書き方とポイント

 

相続する人と連絡が取れないケース

自筆証書遺言は、「」と「ペン」だけを用意すれば書けてしまいます。

 

公正証書遺言と比べてもお手軽ですね。でも気軽に書けるぶん、問題が起こりやすいといった側面も持っています。

 

よくある話が、遺言書の文言が曖昧で、のこされた相続人たちの間で争いが起こってしまうケースです。ひとつ例を出しますね。例えば、「私の遺産はすべて、長女に任せます」と書かれた遺言があったとします。あなたは、これをどう読み取りますか。

 

  • すべての財産を長女に譲った
  • 長女に遺産分割の音頭をとってもらいたい
  • 遺産分割までの財産の管理を任せただけ

 

さまざまな解釈が生まれてしまいそうな文言ですね。実は、この遺言書の文言は実際に書かれたもので、それが原因で裁判になってしまいました。

 

その裁判では「遺言者は長女にすべての財産をあげたかったのだろう」と判断され、長女がすべての財産を相続しました。

 

しかし、違った判断が下ってもおかしくない文言でした。

 

家庭環境や、被相続人と相続人の関係が変わってくれば、いくらでも違った結論になっていてもおかしくなかったでしょう。遺言書を書いたことで、逆に相続人たちの争いの火種になっては本末転倒です。

 

相続人たちのためにも、遺言書にはわかりやすい言葉で書くようにしましょう。間違っても「任せます」とは書かないでくださいね。

 

遺言書を書くこと自体は難しいものではありませんが、効果的な遺言書を書くとなれば話しは別です。

 

効果的な遺言書を書くためには「書く前の準備」が何よりも大切です。その準備のポイントをご紹介します。そのポイントは次の2つです。

 

  • どのような財産があるのかリストアップする
  • あなたの想いを伝える相手を具体的にイメージする

 

順番に見ていきましょう。

 

3.1 どのような財産(遺言書に書く財産)があるのかリストアップする

遺言書とは、あなたの想いを実現するためのものです。その想いに従って、自分の財産をどう分けるのかが決まってきます。

 

自分がどのような財産を持っているのか、自分自身で知らなければ、何もはじまりません。

 

そんなの知っているよ

 

このような声が聞こえてきそうです。しかし、本当に把握できていますか。「すべての預金口座に、いくら入っているか覚えていますか?」「先祖代々、引き継いできた田舎の土地はありませんか?」

 

例えば二男に、ある口座に入っているお金をあげるといった遺言書を書いたとします。

 

あなたは、その金額が20万程だと思っていました。しかし、実際には200万円が入った口座でした。これだけ金額に差があれば、あなたがイメージした「相続人たちの分配割合」にズレが生じてしまいます。

 

200万円とわかっていれば、長男と二男に100万円ずつ分けようと思ったかもしれません。

 

これからもわかるとおり、自分の想いを実現する遺言書を書くうえで、財産の把握は欠かせません。まず財産をリストアップし、次にその財産の金額を調べましょう。そして、その財産について目録を作ります。

 

かんたんな財産目録で大丈夫です。

(1)不動産

あなたの手元にある固定資産税納税通知書に書いてある不動産をリストアップします。

 

つぎの不動産の価格は、悩むところですね。

 

  • 実勢価格
  • 公示価格
  • 路線価
  • 固定資産税評価額
  • 鑑定評価額

 

とたくさんの価格があるからです。

 

現時点では、金額がはっきりとわかっている固定資産税評価額でいいと思います。

(2)預貯金

持っている預金通帳やキャッシュカードをすべて並べてください。

 

ふだんは使っていないけど、貯めておいたお金はありませんか?

 

すべて揃ったら、次は通帳記入をして、その金額を書き出しましょう。

(3)株式

毎年、送られてくる年間取引報告書を手元において株をリストアップしてください。

 

遺言書を書いた時点の株式市場の株価から割り出した金額を書きましょう。

(4)保険

保険契約を確認し、その金額を入れていきます。

 

保険金は相続財産でないケースが多いですが、相続財産の分配を考える際の参考になるので入れておきましょう。

 

3.2 あなたの想いを伝える相手を具体的にイメージする

あなたの想いを伝える相手とは、財産を渡す人です。そして、その人達をリストアップしましょう。

 

「そんなの子供たちに決まっている」

「書く必要もない」

 

そう言わずに、ものは試しに書いてみてください。通常は、奥さん(または旦那さん)や子供たちだと思いますが、他にも孫や甥、姪に渡したいと考える人もいるでしょう。

 

頭の中だけで思い描いているのと、実際に書いたものを見るのでは、全然違います。

 

具体的に「誰に」「何を」相続させるのかを書いてみると面白いことがわかるかもしれませんよ。

 

ここで、財産目録に記入した金額が大きな力を発揮します。公平に分けているつもりでも、偏った分配になっているかもしれません。

 

介護を頑張ってくれている長女に、多くの財産を遺したつもりが、ほかの相続人とあまり変わらないかもしれません。

 

実際に紙に書くことで考えが明確になり、思いもよらない発見があるかもしれませんよ。

 

4 まとめ

自筆証書遺言は、お手軽に書けますが、一方で形式を満たしていないために無効になったり、相続人間で争いになったりしてしまうケースが、どうしても出てきてしまいます。

 

あなたも、自分の家族の間で、もめ事は望んでいないでしょう。

 

自分で遺言書を作るときは、ひとつひとつの条件を確認しながら、慎重に書いていきましょう。

 

 

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