はじめての相続で知っておきたい相続順位とは?
突然訪れた相続。
あなたが相続する場合。
あなたのご両親が相続する場合。
どちらにしても、これからはじめて相続を経験されるのでしたら、これからお話する内容をまずは知っておいてもらいたいのです。
これからお話する内容は、相続に関する非常に基礎的なことですから、この内容を知らずに相続をスムーズに進めることはできません。
それでは、これから相続の専門家である司法書士「おと総合事務所」が、はじめて相続を経験されるあなたに、もっとも必要なことをお伝えしていきます。
ぜひ、最後までお読みいただきまして、スムーズで円満な相続にしてもらいたいと思います。
1: 相続で出てくる用語について知っておこう
人生で何度も経験しないこと。
- 住宅を購入する
- 運転免許証を取得する
- 相続をする
このようなことですが、どれも同じように良くわからない言葉が出てきます。
たぶんあなたも家を購入するとき、免許証を取得するとき、
「こんな言葉知らないよ」
と思ったことがあったことでしょう。
大変申し訳ありません。
遺産相続にも同じように、一般的には良くわからない言葉があります。
そして、この言葉がわからないまま相続を進めると、どうも話がちぐはぐになりスムーズに進まなくなります。
そこで相続でよく出てくる用語を順に説明しておきます。
(1)民法(みんぽう)
私たちが日常生活を送るうえで、守らなければならないルールです。
ふだんの生活で行う契約(車を買うとか家を買うとかですね)や相続などは、このルールに従って進めることになります。
(2)被相続人(ひそうぞくにん)
故人のことです。
この方の資産などを相続することになります。
(3)相続人(そうぞくにん)
故人の財産を承継する人です。
一般的には親族となります。
(4)法定相続人(ほうていそうぞくにん)
民法(生活の中での法律)によって決められている相続人です。
(5)法定相続分(ほうていそうぞくぶん)
民法によって決められている相続人が財産を相続するときの取り分や割合です。
ただし、必ずしもこの割合で相続しなければいけないというものではありません。
要するに遺産分割をする際の目安です。
(6)直系尊属(ちょっけいそんぞく)
あなたから見て、
- 親
- 親の上にいる祖父母
あなたの兄弟ではないことに注意してください。
このように普段の生活では耳にしない用語があります。
ただ、おと総合事務所では、このような専門用語をできるだけ使わずにご説明をさせていただいております。
2: 相続する人の順位
それでは、相続でもっとも気になる「相続する人の順位」についてご説明させていただきます。
まず、何をおいても、被相続人(故人)が結婚されているなら、配偶者は必ず相続人になります。
ということは、事実婚の場合、法的には配偶者ではありませんので、もしご主人が亡くなられた場合、妻として一緒に生活していた方であっても無条件で相続人になることはできません。
ここは現在のライフスタイルには少しあっていないのかもしれません。
芸能人の方にも「事実婚」の方がいらっしゃいますし、一般の方にも夫婦別姓などの理由で婚姻届を出していない方もいらっしゃるでしょう。
今後、少しずつ変化していく可能性はありますが、現時点では配偶者でないと常に相続人にはなれませんので注意しておきましょう。
配偶者以外に相続人になれるのは、どのような人でしょうか?
ここからが相続で勘違いがおきやすい部分です。(特に親族と)
■相続の第一順位
被相続人の「子」です。
または、被相続人の「子」が亡くなっている場合には「孫」になります。
もしあなたのお父さんが亡くなられたのなら、あなたは相続人です(子として)。
今回あなたのおじいさんが亡くなられ、すでにあなたのお父さんも亡くなられている場合、あなたは相続人となります(孫として)。これを代襲相続といいます。
■相続の第二順位
被相続人の「父」または「母」になります。
父母が亡くなっている場合には、祖父母になります。
この状態になると、少しややこしくなってきます。
それは、普段あまり会っていない人が絡んでくるからです。
■相続の第三順位
被相続人の「兄弟姉妹」です。
「兄弟姉妹」が亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子供である「甥姪」になります。
ここまでくると、もうわからないことがいっぱいです。
普段から濃い親戚関係があれば別ですが、そうはいかないのが現在のライフスタイルです。
ということで、このようになります。
法的に考えると、ここまでが相続人として認められる順位です。
ですから、もしあなたのお父さんが亡くなられ、お母さんとあなた、あなたの妹がいたとすると、
この3人は相続の第一順位ですから、3名だけが相続人となります。
(親戚や叔父さん、叔母さんは関係ありません。何か言われても「あっ、そうなんですかぁ~」と流しておきましょう。そして不安がある場合には、司法書士に相談されると法律に照らし合わせた内容を得られます。)
さて、相続人となる順位がわかったところで、相続人が複数いる場合の流れをお話しておきます。
相続人が2人以上いる場合、
- 不動産があれば誰の名義にするか
- 遺産の分配はどういう割合にするか
このようなことを、話し合いによって決める必要があります。
そして話し合いの証拠として「遺産分割協議書」というものを作成することになります。
- 流れ(1):相続人同士で話し合います。
- 流れ(2):遺産分割協議書を作成します。
- 流れ(3):相続人全員の署名と実印を入れます。
- 流れ(4):その他、名義変更などの書類を揃え、法務局などの機関へ提出します。
ここで知っておきたいことは、流れ(2)の遺産分割協議書を作成するとき、相続人の一人と連絡がつかない場合、その人を無視して協議を行ってはいけないということです。
これ、場合によっては大変です。
- 何年も行方不明になっている
- 電話番号など連絡手段がわからない
- 相続の話になると協力的でなくなる
このような場合、遺産分割協議書が作れません。
もし、このようなことが懸念されるのなら、あらかじめ相続のプロである司法書士へご相談ください。
行方不明の場合の手続きや、連絡がつかない人を探すことも行っています。
3: ちょっと大変な代襲相続や数次相続
代襲相続とは、すでに相続人が亡くなっており、相続人の子が相続するというものです。
これに対して数次相続とは、相続時には生きていたが相続手続きを終えるまでに、相続人が亡くなってしまうことです。
最初からわかっている場合は、まだいいのですが、次のような場合、とても複雑な状態になります。
例えば、
あなたのお祖父さんが亡くなりました(被相続人です)。
お祖父さんの妻(お祖母さん)もすでに亡くなっています。
お祖父さんには、あなたのお父さんも含めて3人の子供がいます(第一順位)。
この状態ですと、お父さんを含めた3人の子供で相続すれば終了です。
しかし、、、
相続手続き中に、あなたのお父さんが脳梗塞で亡くなります。
そうすると、あなたのお父さんは相続の資格をなくしますから(死亡していますから)、相続権があなたにやってきます。
そして、あなたに兄弟が3名いたとすると、兄弟3名全員が相続人となるのです。
いかがでしょうか?
最初は相続人が3名だったのに、状況が変化したことで相続人が5名に増えました。
この例は、非常にシンプルなものですが、相続に関して「孫」「甥姪」に相続人が出る場合「相続人は誰なのか」が非常に複雑化します。
このようなケースになりそうなら、最初から専門家のアドバイスをもらってください。
また、相続中に状況が変化した場合にも、遺産分割協議書の作成をしなおす必要がおこることもあります。
相続人の数が多い場合。
相続の第一順位で終われない場合。
このような場合は相続のプロに相談しながら進められるのが、あなたにとって負担が少なくなる方法だと思います。
4: 遺産相続の流れ
それでは、遺産相続で大切な流れを見ておきましょう。
(1)まずは遺産を調査しよう
何がどれだけあるのか。
故人が管理していた遺産を調査しましょう。
株式などは目に見えにくいものですから、郵便などをチェックして把握しておきたいですね。
(2)相続人は誰か
遺産を相続するのが誰なのかを明確にしましょう。
ここで相続人が漏れていると、相続手続きがスムーズに進まなくなります。
(3)戸籍謄本や実印の用意を
相続人には戸籍謄本や印鑑証明、実印などが求められます。
戸籍謄本などは役所へ行けば取得できますが、印鑑証明で困ることがあります。
といいますのも、印鑑証明を取得するためには、印鑑登録をする必要があります。
そして、印鑑登録をする為には、実印を用意しておく必要があります。
人によっては、自分の名義で車や家を購入されたことのない方もいらっしゃいます。
賃貸物件の保証人になったこともなければ、おそらく日常で実印なんて使いません。
ですから、印鑑証明を取得しようとしたら、実印を登録していないので用意できないというケースが出てくるんですね。
こんなことになると相続の手続きが思うように進みませんので、遺産がわかり相続人が明確になった段階で、印鑑証明を取得できるのかどうかを確認しておきましょう。
もし実印を持っていないのなら、この段階で用意しましょう。
そして印鑑登録を済ませておいてもらえると、手続きがスムーズに進められます。
(4)遺産分割協議をしよう
調べた遺産をどのように分けるのか相続人全員で話し合います。
相続人を誰かひとりでも遺産分割に参加させずに話し合いをしてしまうと、その遺産分割協議は無効になってしまします。注意しましょう。
5: 相続がスムーズに進まない原因
最後に、あってほしくないのですが、相続の手続きがスムーズに進まない原因を紹介しておきます。
- 会ったことがない人が相続人にいる
- 行方不明者が相続人にいる
- すでに遺産を使い込んでいる相続人がいる
これらのケースは非常に困りますよね。
こういう場合こそ、相続のプロである司法書士へご相談ください。
司法書士は誰かの代理人ではなく、相続人全員に公平かつ平等に遺産を分配するお手伝いをしています。
最初から紛争になりそうな雰囲気の場合でも、司法書士へご相談いただけると、まずは平和的解決をご提案させていただきます。
ただ、平和的解決を選ばずに紛争へ突入した場合は、私たちが信頼している弁護士さんをご紹介することも可能です。
6: まとめ
相続順位についてお話してきました。
今回の順位は「法定相続」の順位ですので、誰もが対象となる順位です。
これからはじめて相続手続きを考えておられるなら、まずは今回の内容をご理解いただきたいと思います。