【初心者向け】相続の必要書類が5分でわかる!コツは相手の立場に立つことだった!
- 「相続の必要書類は、たくさんあってよくわからない」
- 「その手続きの数だけ、必要書類があるってことでしょ」
- 「そもそも、どんな書類を集めていいのか想像もつかない」
このページにたどり着いたということは、あなたも同じような考えが頭をよぎっているのではないでしょうか。
よくわかります。
でも安心してください。視点を変えるだけで、集める書類が「ぼんやり」と見えてきます。
そしてこの「ぼんやり」と見えている状態になれば、不思議なことに相続の必要書類がすんなりと頭に入ってきます。
そこでここでは、そのような状態になるように「相続の必要書類を集めるコツ」と「具体的な必要書類」をわかりやすくご紹介します。
目次
1 相続の必要書類を集めるコツ
「相続の必要書類は、たくさんあってよくわからない」
このように考える方には共通点があります。それは自分の立場からしか物事を見ていないということです。自分の視点から相続の必要書類を導き出そうとしている証拠です。
それではダメです。難しくなるだけです。もっと簡単に集めていきましょう。相続の必要書類を集めるコツは「相手の立場に立つ」ことです。
相手の立場に立って、その「書類」を考えるとすごく簡単に覚えられます!では、さっそく考えてみましょう。相手は、なぜその必要書類を求めているのでしょうか?
- あなたを困らせたいから
- 時間を稼ぎたいから
- 仕事をしていることをアピールしたいから
どれも違いますよね。相手は「何か」を知りたいのです。これがわかると「相続の必要書類ってかんたんじゃん」と思えることでしょう。この視点(考え方)は、すごく大切なことで、相続以外のことにも応用できます。
では、その「何か」を見つけていきましょう。
2 銀行の立場になって、その「何か」を見つけよう!銀行の必要書類とは?
その何かを知るために「銀行員の立場」になって考えてみましょう。銀行員になったつもりで考えてください。いきますよ。
あなたの目の前に、「私は相続人だ。お金を払ってくれ」と言ってくるお客さまがいます。あなたならどうしますか。言われるがまま、何も確認せずにお金を払いますか?
払いませんよね。
本当にその人がお金を受け取れる権利があるのか、確かめようとしますよね。
そうなんです。これが「何か」の正体です。その確認がしたいがために、銀行はあなたに書類を求めているのです。
2.1 コツを思い出しながら銀行の必要書類を確認しよう!
最初に必要書類を教えてしまいますね。まだ正確に覚える必要はありませんよ。ざっと見たら次の項目に進んでください。
銀行の相続(払い戻し)に必要な書類は次のとおりです。
被相続人(亡くなった方)についての書類
- 戸籍(出生から死亡まで)
- 住民除票または戸籍の附票
相続人についての書類
- 相続人全員の戸籍
- 相続人全員の住民票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割証明書
- 相続手続き依頼書
- (相続の同意書)
※ 金融機関によって多少異なります。
2.2 なぜこのような書類が必要なのか?銀行は何を知りたいのか?
次に答えを「よりイメージしやすく」するために、以前、私が銀行で順番を待っていた時の話をします。
本日はどのようなご用件ですか?
銀行員
銀行印を変更したい。
お客さん
わかりました。現在の届出印は持っていますか?
銀行員
持ってない。
お客さん
本人確認ができる身分証はお持ちですか?
銀行員
ない。本人が来ているのだからそんなものは必要ないだろう(イライラ)
お客さん
本人確認ができないと、変更できないのですが・・・
銀行員
だから私が本人だ。さっさと手続きしてくれ(怒)
お客さん
・・・
銀行員
この会話を聞いて、どう思うでしょうか。全然、かみ合っていないですね。どこに原因があるのでしょうか。それは「自分にとっての当たり前」を「相手にとっても当たり前だ」と思ってしまっているところです。
あなたも似たようなケースで、同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか。どちらの立場で起こってもおかしくありません。
では相続に話を戻して、考えてみましょう。あなたの親が亡くなったとします。「あなたの親が亡くなってしまったこと」や「あなたが相続人であること」は、あなたにとっては当たり前です。
しかし銀行側にしてみれば「親が亡くなったこと」も「あなたが相続人であること」も当然に知っている情報ではありません。これがわかれば、ゴールはもうすぐです。
まずは「あなたが相続人であること」や「親が亡くなったこと」を銀行に知ってもらう必要があります。そしてあなたが、親の預金を受け取る権利があることを証明しましょう。
「相続の手続きをすると、たくさんの戸籍や住民票を集める必要がある」
このような話を聞いたことがありますよね。これは「あなたが相続人であること」を銀行にわかってもらうための書類です。
これを集めたら、次はあなたが銀行預金の全額について払い戻しを受ける権利があることを証明しなければいけません。ここはわかりにくいところなので例を出して解説します。
【例を使った解説】
相続人が長男・長女・二男の3人でした。
3人で話し合った結果、預金は長女がすべてもらうことに決まりました。
にもかかわらず、「二男」が長女よりも先に銀行に足を運び、全額を受け取ってしまいました。
でも待ってください。二男は預金を受け取る権利がありません。
銀行は権利者の確認を怠り、相続人だからという理由で二男に全額を払ってしまったのです。
もし後日、長女から払い戻しの請求を受ければ、銀行は同じ金額を払うしかありません。
このようなことがないように、銀行はあなたが預金の全額について払い戻しを受ける権利があるのかを確認したいわけです。
具体的に銀行に提出する書類は「遺産分割協議書」と「印鑑証明書」です。いかがでしょうか。考え方は簡単ですよね。
3 相続登記には、どんな必要書類が求められるのか?
考え方は相続登記も銀行と同じです。法務局に対して「あなたが不動産の所有者であること」をわかってもらえるだけの資料を出します。
具体的には以下の書類を用意します。
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍
- 被相続人の住民除票または戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 不動産を相続する人の住民票
- 不動産の評価証明書
- 相続登記申請書
3.1 相続登記に使う戸籍を集めるのは大変!
被相続人の戸籍を出生から死亡まで集めていきます。もしかすると戸籍は1通しかないと思っている方がいるかもしれませんが、実は戸籍というのはたくさんあるんです。
なぜかというと戸籍は、何度も作りかえられてしまうからです。
- 法律の改正
- 転籍
- 結婚
- 離婚
- 養子縁組
- 離縁
など
これらの理由によって新しく戸籍が作られます。よほど早くに亡くならないかぎり、戸籍が1通ということはありません。
ここは必要書類を集める作業の中でも一番、大変なところです。
焦らずにゆっくりと進んでいきましょう。
3.2 住民除票または戸籍の附票は、なぜ必要なのか?
「住民除票」とは住民票のことです。
- 生きている人 → 住民票
- 亡くなった人 → 住民除票
と、ここでは考えてください。正確には違うのですが分かりやすくするために、このページではこのように表現します。
突然ですが「なぜ住民除票が必要なのか」気になりませんか?被相続人が亡くなったことは「戸籍」に書いてあります。親子関係や夫婦関係のことも「戸籍」に書いてあります。
相続に関連する「人の死亡」や「家族の関係(続柄)」はすべて戸籍を見ればわかりますよね。
戸籍があれば住民票はいらないような気がしませんか?でも必要なのです。なぜでしょうか。それは「名義人」と「戸籍に書かれた人」が、同一人物なのかを知るためです。
これだけだとよくわからないと思うので、具体例を出しながら説明します。ここからは不動産登記よりも身近な銀行(取引)に置き換えて説明します。預金口座を持っていない人はいないと思うので。
銀行で口座を作るときに個人情報を登録しますよね。
- なまえ
- 住所
- 生年月日
- 届出印
- 暗証番号
- 使用目的
このようなところでしょうか。何かに気づきませんか。そうです。本籍地は登録していません。そして、相続関係を証明する戸籍には「本籍地」は書いてありますが「住所」は書いてありません。
そうすると「戸籍に書かれている人」と「銀行に登録されている人」が同一人物なのか判断できないのです。
名前だけが一致していても別人の可能性があります。あなたも同姓同名の人に会ったことがあるのではないでしょうか。同一人物かどうか判断するためには、少なくても二つの要素が一致していなければいけません。
要するに「住所と氏名」または「本籍地と氏名」が一致していないと同一人物とは認めてもらえないということです。
ここで重要な役割を担うのが住民票です。「本籍地入り」の住民除票です。
どういうことか、こちらをご覧ください。
銀行登録 : 住 所 と 氏 名
戸 籍 : 氏 名 と 本籍地
氏名しか一致していません。これでは同一人物かどうかわかりませんね。
次は住民除票と一緒に見てみましょう。
銀行登録 : 住 所 と 氏 名
住民除票 : 住 所 と 氏 名 と 本籍地
戸 籍 : 氏 名 と 本籍地
どうでしょうか。「銀行の登録」と「戸籍」がつながっていますね。住民票を介することで「死んだ人」と「銀行預金者」が一致していることが判明しました。
4 相続放棄の必要書類を導き出す力をつけよう!
ここまでの復習の意味を込めて「相続放棄の必要書類」を考えてみましょう。
力試しにはもってこいです。
ここでの必要書類を提出する相手は「裁判所」です。裁判所の視点に立って答えを導き出しましょう。どのような書類が必要になるのでしょうか。難しく考えないでくださいね。
ポイントは「どんな時に」「どんな人」が相続放棄をすることができるのか、です。これがわかると「ぼんやり」と見えてきます。
例えば、あなたがお父さんの相続放棄をするとします。「相続放棄」はお父さんが生きているうちはできません。死んだ後でないと認められません。ということは、まずはこれを証明する必要がありますね。
そうです。一つ目の書類は「お父さんの死んだことがわかる戸籍」です。
では次にいきますね。例えば、あなたの友人が死んだとします。あなたは相続放棄をすることができますか。
できませんよね。
それはあなたが「友人の相続人ではない」からです。「相続放棄」は相続人しかできません。ということは相続放棄をするためには、あなたが相続人であることを裁判所に証明しなければいけません。
もうお分かりですね。二つ目の必要書類は相続人であることを証明するために「あなたの戸籍」が必要になります。
では次に行きますね。次で最後の書類になります。
相続放棄はどこにするものでしたか?どこの家庭裁判所にするものでしたか?それは、亡くなった人の「最後の住所地」を管轄する裁判所でしたね。
裁判所の管轄が正しいことを証明するために、被相続人の最後の住所がわかる書類が必要になります。最後の必要書類は「被相続人の住民除票」です。
相続放棄の必要書類をまとめてみましょう。
- 被相続人の戸籍(正確には除籍)
- 相続人の戸籍
- 被相続人の住民除票
どうですか。必要書類の感覚がつかめてきたのではないでしょうか。
5 相続税申告の必要書類とは?
相続税申告に使う書類も、まずはイメージを持ちましょう。税務署の立場に立って考えてみます。税務署は何を知りたいのでしょうか。
税務署は過不足なく税金を払ってもらいと考えています。ということは正しい税額を知りたいのです。「正しい税額」を知るためには税務署はどんな情報がほしいのでしょうか。それを知るためには、どんな必要書類がほしいのでしょうか。
- どのような遺産があるのか
- それはどのくらいの価値があるのか
これらがわかる書類です。ここでからもわかるように相続税申告のために用意する書類は人によって変わってきます。遺産の種類が多ければ、用意する書類も増えてきます。遺産の種類が少なければ、書類は少なくてすみます。
相続税の申告に使う代表的な必要書類をご紹介します。相続登記や銀行の払い戻しに使った書類と共通するものもたくさんあるので、それは除いてあります。
【プラスの財産】
遺産に不動産がある場合
- 登記事項証明書
- 固定資産税評価証明書
遺産に(上場)株式や投資信託がある場合
- 残高証明書(預り金や株式など)
遺産に預貯金がある場合
- 残高証明書
- 経過利息計算書
遺産に生命保険がある場合
- 生命保険支払通知書
- 生命保険書の写し
- 解約返戻金の金額がわかる資料
【マイナスの財産】
- 葬儀費用に関する資料
- 未払い医療費に関する資料
- 未払い公租公課に関する資料
- お布施に関する資料
- 借入その他負債に関する資料
など。
このように、相続財産の種類によって、用意する書類も変わってきます。しかし、難しく考える必要はありません。
- どのような遺産があるのか
- それはどのくらいの価値があるのか
この二つを意識しながら進めれば困ることはないでしょう。
6 まとめ
相続における必要書類は、たくさんあります。
ただそれを漠然と集めていけば、その量に圧倒され、そして間違い何度も取り直しになるでしょう。
しかし相手の立場に立って考えるクセをつければ、どのような書類が必要なのか「ぼんやり」と見えてきます。その視点を持てれば、同じ量の書類を集めるにしても、その大変さは全然違うでしょう。
なぜその書類が必要なのか、相手の立場になって考えることを忘れないようにしましょう。
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