相続する人と連絡が取れない!を解決する方法。慌てずに読んでください
遺産相続の手続きが必要になったとき、もっとも困った状態になり、相続手続きを止めてしまうことになるのが
「相続人(相続する人)と連絡が取れない!」
このようなケースです。
具体的には次のような場合ですね。
「故人(父)の死後3ヶ月以内に相続手続きを完了しないと相続が出来ないと聞きました。でも相続人の一人と連絡がとれないんです。手続きが進みません。このままでは遺産がどうなるのか心配で不安です・・・。」
もしかすると、あなたもこのような心配と不安をお持ちかもしれません。
そこで今回は、相続人と連絡が取れない場合、どのように相続手続きを進めていけば良いのかについてご紹介していきたいと思います。
1: 相続する人と連絡が取れないケース
最初にお話しておきますと、故人の死後3ヶ月以内に相続手続きを完了しなくてはいけないというのは間違いです。
故人の死亡を知ったところから3ヶ月以内にすることは、相続放棄をするかどうかを決めることです。
この3ヶ月以内に相続放棄をしなければ、相続をしたものとして手続きは進みます。
まず、ここをご理解ください。
では、相続する人と連絡が取れないケースを見ていきましょう。
(1)連絡先がわからない
行方知れずの兄弟姉妹の住所がわからないと連絡のしようがありません。
このような場合、行方のわからない人の住所履歴となる「戸籍の附票」という書類を両親の本籍地がある市区町村で発行してもらいます。
その人が婚姻やその他の事情で、新しい戸籍ができている場合は、両親の戸籍からたどって取り付けます。
これによって行方のわからない人の住所が判明することがほとんどです。
(2)調べてもわからない
「戸籍の附票」を手に入れ、そこに記された住所へ手紙を送ってみても連絡がない。
手紙を送っても戻ってくる。
実際に足を運んでみると、全く別人が住んでいた。
このような場合、居所はつかめません。
おそらく生存はしているはずだけれど、全く足取りがつかめない。
そんな場合は、家庭裁判所へ申し立てを行うことで、相続手続きを進めることができます。
(3)失踪している
行方がわからなくなって生死不明の状態が7年以上経過しているなら、家庭裁判所で失踪宣言を申し立てることで、相続手続きを進めることもできます。
ただし、この方法は最後の手段ですから、あまり簡単に使いたい方法ではありません。
相続する人と連絡がとれないケースは、大きく分けるとこの3パターンになります。
あなたが今連絡と取ろうとしている相続人は、どのケースでしょうか?
2: わかる範囲で探す方法
それではここからは、もう少し詳しく探す方法をお話していきます。
(1)住所を調査
相続する人で行方のわからない人が婚姻されていない場合。
そして、この方の戸籍が両親の戸籍に残っている場合。
先ほど出てきました「戸籍の附票」を両親の本籍がある市区町村で請求して発行してもらいましょう。
どうしてこのようなまわりくどい方法なのかと言いますと、行方のわからない兄弟姉妹の住民票を取るためには、その人の住所を調べて、その住所を管轄している役所へ請求しなければいけません。
住所がわからいから調べているので、そもそも住民票は請求ができませんよね。
もちろん、過去の住所地から順々に調べる方法もありますが一般の方には大変です。
このような理由から、住民票の代わりになる「戸籍の附票」を取得します。
まずは、この方法で行方のわからない人の現住所を見つけましょう。
(2)行方不明の相続人が、両親の戸籍から除籍されていた場合
先ほどのように戸籍の附票を取得しても途中で止まっています。
だからといって、行方のわからない兄弟姉妹の住民票を取得することもできません。
このような場合は、両親の戸籍から順々にたどって、行方のわからない兄弟姉妹の本籍地を探し出します。
そして、その本籍地に戸籍の附票を請求します。
(3)住所がわからない
住所を見つけたけれど、連絡が取れない場合。
このような場合、相続の手続きを前に進めるために、家庭裁判所へ「不在者財産管理人」の選任を申し立て、その制度を利用することになります。
この制度は、行方不明の相続人に変わって、他の相続人と遺産分割協議を行うことで、相続手続きを進め完了させることができます。
この場合、行方不明の相続人が相続について不利にならないよう、第三者が管理人として選任されます。
多くの場合、管理人に選任されるのは、司法書士や弁護士です。
3: どうしても見つからない場合の対処法
不在者財産管理人制度も使いたくない。
でも行方不明の相続人がいるので、何とか相続を進めたい。
このような場合は「失踪宣告」を家庭裁判所へ申し立てすることもできます。
相続についてアドバイスされる方の中には「不在者財産管理人制度」よりもこちらを推される方もいらっしゃいます。
でも、少し待ってください。
確かにこの方法は「不在者財産管理人制度」に似ています。
しかし根本的に違うのが
不在者財産管理人制度:不明者が生きている前提で遺産分割をする
失踪宣告:不明者が死亡したものとみなし遺産分割する
まったく重みが違います。
相続手続きを進めるという部分では同じように感じますが、本質的な部分が異なっています。
ですから、どうぞ「不在者財産管理人制度」が利用できるのなら、こちらを選んで進めてください。
不在者の財産管理人制度を詳しく知りたい方は『行方不明の相続人とやっぱり連絡が取れない!そんな時は不在者財産管理人です!』をお読みください。
4: 連絡がとれないから無視して相続を進めてはいけません!
「あ~面倒だな。無視して相続進めてはダメなの?」
このように感じられることもあるでしょう。
お気持ちはわかりますが、遺産を相続し分割するときには、相続人が全員同意の元で分配しなくてはいけません。
もし、この部分を無視して分割した場合、数年後にひょっこり行方不明だった人が登場して、そのときに父親(または母親)が亡くなったことを知り、自分の権利を主張され、遺産分割はやり直しになることでしょう。
あなたは手元に残っている財産を返却することになるかもしれません。
5: まとめ
このように相続人の中に、行方のわからない人や、普段から疎遠で連絡先がわからない人がいる場合、
住所を調べたり、戸籍を用意したりすることはかなり大変です。
面倒という言葉がぴったりかもしれません。
ですから、このような面倒なことを回避して、スムーズに相続手続きを行いたいなら、相続の専門家である司法書士や弁護士に相談されることをおすすめします。
後々になって面倒なことが起こらない相続手続きは、あなたの暮らしに安心を届けてくれるでしょう。