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【成年後見人の手続き】申立てから選任までをわかりやすく徹底解説!

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【成年後見人の手続き】申立てから選任までをわかりやすく徹底解説!
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成年後見人の手続きについて、誰にでもわかるように一から解説したいと思います。

 

成年後見制度とは、「認知症」や「知的障がい」などによって正しい判断ができなくなってしまった人の生活をサポートするための仕組みです。

 

なぜこのような制度があるのかというと、私たちの生活は判断能力がなくなると「何もできない」仕組みになっているからです。

 

  • 施設に入所するための契約も
  • 介護サービスを受けるための申込も
  • 不動産の売り買いも
  • アパートを借りることも
  • 保険に入ることも

 

これらはすべて判断能力がないとできません。ここで紹介した例はほんの一部です。

 

「なぜ判断能力がないと何もできないの??」

 

これはよく考えると簡単です。本人が「不利益」を受けないためです。必要がないものを買ってしまったり、必要以上の保険に入ってしまったり、言葉巧みに投資信託を買わされてしまったり、詐欺師に騙されたりしないようにためです。

 

法律が変わって国民全員が「大うそ新聞」を定期購読しなければいけなくなりました。

現時点で契約していない方は法律違反になり、20年以下の懲役になります。

詐欺師

まぁ、大変!そんなことは知らなかったわ。どうしましょう。

認知症の女性

大丈夫です。ここで契約してくれれば、私が何とかしておきましょう。お客様は幸運です。

他の人に知られれば刑務所に入っているところでした。私が来て良かった。

今なら、最初の契約時に50万円、その後、毎月5万円の支払いで定期購読できます。

ではさっそく、この契約書にサインと印鑑を押してください。支払いは、現金がなければ振り込みでも大丈夫です。

詐欺師

さすがにここまで分かりやすい詐欺師はいませんが、判断能力がない方は自分にとって不利益でしかない約束でも言われるがまま、サインをしてしまう可能性があります。

 

そのような事態を避けるために、判断能力がない人の行動は「すべて無効」とされました。しかし何もできないままでは本人の生活は成り立ちません。

 

そこで、成年後見人を付け、本人をサポートする成年後見制度が作られました。このページでは、私たちが生きるこの超高齢化社会に欠かすことのできない成年後見人の手続きについて分かりやすく解説したいと思います。

 

1 成年後見人の手続きの流れ

説明受ける老夫婦

成年後見人の手続きを知るためには全体像をつかむことが手っ取り早いので、成年後見制度の流れを見てみましょう。

 

【STEP1】
判断能力の有無をチャックする

【STEP2】
申立人と成年後見人候補者を決める

【STEP3】
必要書類を集める

【STEP4】
家庭裁判所へ申し立て・調査、審問

【STEP5】
成年後見開始の審判

一つ一つ詳しく見ていきましょう。

 

判断能力の有無をチェック【STEP1】

まずは成年後見制度が本当に必要なのかを確認します。大切なので繰り返しますが、成年後見制度は「判断能力が不十分な人」を支援するしくみです。高齢者でも判断能力があれば利用すべきではありません。

 

成年後見制度を利用すると、本人に代わって「成年後見人」がさまざまな契約やライフプランの計画を立てます。そして、本人はその結果を無条件に受け入れることになります。

 

私たちの生活は、本来、自分で自由に決めることができます。友人や家族に相談することはあっても、最終的に決断を下すのは自分です。

 

もしも、自分のことなのに自分で決めることができずに、自分以外の誰かが「あなたの将来」を決めることができ、それを受け入れないといけないとしたらどうでしょう。

 

「そんなのおかしいー」

 

と叫びたくなることでしょう。そうなんです。成年後見制度とは本人の利益を守る一方で、「本人の自由な意思による行動を制約してしまう側面」を持っています。

 

だからこそ、この「ステップ1」は慎重に判断してもらいたいと思います。具体的には医師の診断書を取り、医師の判断を仰ぐことになりますが、家族の目からも制度が必要なのかどうかしっかりとチェックしましょう。

 

このステップを軽視している専門家もいますが、成年後見制度とは本人のための制度です。必要のない方に使ってはいけません。

 

成年後見制度を利用するうえで、一番大切な視点なので、これだけは忘れないでください。

 

 

申立人と成年後見人候補者を決める 【STEP2】

成年後見制度は、判断能力が下がれば「自動的」にはじまるものではありません。利用する側が一定の手続きをして、はじめて利用することができます。

そして、その手続きをすることができる人は法律によって決まっています。

【申立人になれる人】

  • 本人
  • 配偶者(妻または夫)
  • 4親等内の親族 ※1
  • 未成年後見人
  • 未成年後見監督人
  • 保佐人
  • 保佐監督人
  • 補助人
  • 補助監督人
  • 検察官
  • 市区町村長

※1 「4親等内の親族」とは、

  • 親 や 祖父母
  • 孫 や ひ孫
  • 兄弟 や 姉妹
  • おい や めい
  • おじ や おば
  • いとこ
  • 配偶者の父母 や 祖父母
  • 配偶者のおじ や おば 又は 配偶者のおい や めい

などです。

次に成年後見人の候補者を決めます。成年後見制度が「プラスに働くのか」「マイナスに働くのか」は成年後見人の腕にかかっていると言っても過言ではありません。

 

本人の生活環境や資産の状況、これから予定しているイベント(「不動産の売却が必要とか」、「施設の入所契約が必要とか」、「介護サービスを選択しなければいけない」など)にあわせて誰が適任なのか決めていきます。

 

ここで注意してほしいことは、後見人候補者が必ず選ばれるわけではないということです。詳しく知りたい方は『【失敗体験談4】成年後見人は申立人どおりに選ばれるとは限らない』をお読みください。

 

とはいっても、親族の中に成年後見人になれる方がいるのであれば、その方が後見人に就任することが一番いいと私は思っています。裁判所も今後は、そのような動きになってくるでしょう。

 

必要書類を集める【STEP3】

申立てに必要になる書類を集めています。注意点としては、ただ闇雲にリストに従って書類を集めるのではなく、「なぜその書類が必要なのか」を考えながら集めていきましょう。

 

たとえば、必要書類の中に「診断書」と「申立事情説明書」というものがあります。

診断書には、医師から見た本人の判断能力の程度が記されています。申立事情説明書には、本人が現在「どこで」「どのような治療や介護サービス」を受けているのか、そして本人の日常生活について、どこまでひとりですることができるのか、たとえば自力で歩くことができるのか、人の手を借りれば「車いす」で移動できるのか、ベッドから起き上がれないのか、会話は成り立つのかどうか、などが書いてあります。

 

この「診断書」と「申立事情説明書」が、「なぜ必要なのか」というと、成年後見制度が本人の行動を制約してしまう側面を持っているため、成年後見制度を「本当に必要としている人なのかどうか」を裁判所が判断するためです。

 

また、必要書類には本人の「財産に関する資料」や「収支に関する資料」が求めれています。

これらの書類は、成年後見人が不正をしたらすぐに気がつけるように求めています。不正がないかを調べるためには、「本人がどれくらいの財産を持っていて」、「毎年どれくらいの収支があるのか」がわからないと、チェックしようがありませんよね。

 

本人の生活費に比べて「預金の減り」が多ければ、裁判所は不正を疑うことができます。預金の減りが激しいことについて、納得ができる回答がなければ厳しい指導をすることになります。場合によっては成年後見人の解任をすることもあるでしょう。

 

このように、一つ一つの書類には「求められている意味」があります。このことを意識しているだけで、そのあとの後見業務が大きく変わってきます。ただ闇雲に書類を集めるのではなく「なぜ求められているのか」もあわせて考えていきましょう。

【一般的な必要書類は次のとおりです】

  • 後見開始の申立書
  • 親族関係図
  • 診断書
  • 診断書の附票
  • 愛の手帳のコピー
  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の住民票または戸籍の附票
  • 本人が登記されていないことの証明書
  • 後見人候補者の住民票または戸籍の附票
  • 申立事情説明書
  • 親族の同意書
  • 後見人等の候補者事情説明書
  • 財産目録
  • 収支状況報告書
  • 財産関係に関する資料
      -預貯金のコピー・保険証券・株式、投資信託の資料
      -不動産の登記事項証明書
      -負債の資料
  • 収支に関する資料
      -年金の支払明細書・不動産賃貸契約書・配当通知書
      -施設費や治療費の領収書
      -介護サービスの領収書

 

家庭裁判所へ申し立て【STEP4】

  1. 家庭裁判所へ電話をし、面談日の予約をします。
  2. 予約が取れたら、その面談日の3営業日前までに「申立書類一式」を家庭裁判所へ郵送します。
  3. 面談には「申立人」と「後見人候補者」が出席します。調査官から、申立について詳しい事情を聞かれます。

 

その後、家庭裁判所で「本人について成年後見を開始するかどうか」の審理をします。「申立書の内容」と「面談の聴取事項」をもとに家庭裁判所が判断します。

 

この期間は裁判所によってもまちまちですが、1か月から3か月程で申立人と成年後見人へ結果が届きます。

 

成年後見開始の審判【STEP5】

審判書が届き、2週間が経過すると「成年後見開始の審判」が確定します。

ここまでが成年後見の審判までの流れです。

 

しかし、ここがゴールではありません。ここからが「はじまり」です。本人がこれまでと同じように自分らしい生活ができるようにサポートしていきます。

 

繰り返しになりますが成年後見制度とは、あなたのためではなく、家族のためのものでもありません。本人の利益を守るためにあります。

 

時として、家族の利益のための行動がとれず、使い勝手が悪い制度だと思うことがあるかもしれません。しかし、成年後見制度は「判断能力がなくなった本人のための制度」なのだと、思い出してもらい本人のサポートにあたってもらいたと思っています。

 

 

2 成年後見人として「できること」&「できないこと」

比べている人

家庭裁判所から選ばれ「初回報告」を同裁判所へ出せば、成年後見人としての仕事がスタートします。

 

成年後見人としてサポートしていると、「後見人なんだからこれもやってくれ、あれもやってくれ」と言われ心身共に疲れてしまう方がいます。

 

そこでもう一度、成年後見人として「できること」と「できないこと」をおさらいしましょう。成年後見人としてサポートする権限がない行為は断る勇気を持つことも必要です。

成年後見人として「できる」こと

【財産管理】

  • 「通帳」や「印鑑」などの管理・保管
  • 遺産相続に伴う各遺産の名義変更手続き
  • 各種行政上の手続き
  • 年金、給与、保険金の受領などの収入の管理
  • 公共料金、税金、保険料、住宅ローンなどの支払いの管理
  • 銀行その他の金融機関との取引(預金の出し入れなど)
  • 不動産の売却や賃貸

【身上保護】

  • 生活の場所の選定。たとえばバリアフリー化されたアパートに住む等
  • その費用の支払い
  • 有料老人ホームや特別養護老人ホームの入退所の契約
  • その費用の支払い  
  • 健康診断の受診・治療・入院・リハビリテーションなどの契約
  • その費用の支払い
  • 要介護認定の申請や介護サービスの依頼
  • その費用の支払い
  • 本人の身体の安全の確保

 

成年後見人として「できない」こと
  • 賃貸借契約の保証人、入院・施設入所の際の身元保証人、身元引受人
  • 毎日の買い物や身体介護
  • 手術や臓器提供についての同意
  • 結婚・離婚・子の認知・遺言や養子縁組などの身分行為

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

成年後見制度の流れについて説明させてもらいました。まずは全体像を把握しましょう。

『(1)判断能力の有無をチャックする→(2)申立人と成年後見人候補者を決める→(3)必要書類を集める→(4)家庭裁判所へ申し立て・調査、審問→(5)成年後見開始の審判』

全体像が把握できたら、次に細部に移っていきます。少しくらい分からないことがあっても気にせずに全体像を把握することに努めましょう。

 

 

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