【必見】これを読むだけで成年後見人の仕事や役割が9割わかる!
- 「成年後見人とはどんな仕事をするのだろう」
- 「成年後見人の役割とは何だろう」
はじめての経験で、あなたもこのように考えているのではないでしょうか。成年後見制度が本人のためになるのはわかったが、成年後見人の仕事や役割がわからないために一歩踏み出せない方もいるでしょう。
よく「Webサイト」や「本」の説明では次のように書かれています。
- 成年後見人の職務は財産管理と身上監護である
- 財産管理とは、財産権に関する法律行為・・・・
- 身上監護とは・・・・
よくわからない単語の連続で思考が停止してしまう方が多いのではないのでしょうか。もしくは、わかったふりをして「これで大丈夫」と自分に言い聞かせるしかないのが実情です。
「正しい判断ができなくなってしまった本人(成年被後見人)の生活」は、成年後見人の肩にかかっています。成年後見人の選択によっては、本人に大きな損害を与えてしまうこともあります。
そこで、そのようなことがないように今回は成年後見人の「仕事」や「役割」を誰でもわかるように解説したいと思います。
目次
1 成年後見人の仕事の全体像を把握しよう
まずは、成年後見人の仕事のイメージをつかみましょう。そのイメージを持てれば、どのような場面でも自分で「考え」「行動」することができるようになります。
よくある間違いが、Webサイトに書いてある内容を丸暗記する方法です。これはダメです。使える知識にはなっていません。
もし嘘だと思うなら、丸暗記した人に「成年後見人の仕事をわかりやすく説明してほしい」と聞いてみてください。
的外れ(まとはずれ)な回答が返ってきますから。
では、早速いきます。
成年後見制度を思い出してみましょう。成年後見人の役割を簡単に言ってしまうと、それは「本人(成年被後見人)が困らないようにサポートする人」です。ではそこから、より深く考えてみましょう。
「本人が困らないようにサポートする」とは、具体的に何をすることなのでしょうか。難しく考える必要はありません。
それは、次の2つをすることです。
- 本人の財産を守る
- 本人が、(これまでと同じように)平穏に生活が送れるようにする
成年後見人は「本人の財産を守り」「本人が安心して生活を送れる」ようにサポートすることが使命ということです。
これを叶える行動こそが、成年後見人のすべきことです。難しくないですよね。特別な知識はいりません。あなたが「普段から使っている考え方」を本人(成年被後見人)に対し応用すればいいだけです。
これから、それを実感してもらいたいと思います。
2 財産管理|本人の財産を守る後見人の仕事(サポート)とは?
成年後見人の仕事のひとつである「本人の財産を守る」について考えてみましょう。成年後見人は、本人の大切な財産を守っていかなければいけません。しかし財産を守るといっても「1円たりとも減らさないように徹底して節約をする」という意味ではありません。
当然、日常生活を送ればお金は減りますし、生きていくためには、出費を伴います。ここでの財産を守るとは、その人らしい生活を送りながら「不当な財産の減少」を食い止めることです。
2.1 成年後見制度の目的を思い出そう!
本人(成年被後見人)とは、どのような人だったのか思い出してみましょう。それは認知症などにより「正しい価値判断ができなくなってしまった人」です。そうなると、本人の日常にはさまざまな危険が潜んでいます。
- 収入に合っていない高級アクセサリーを買ってしまう
- 訪問販売を断れずに、いらない物を次々と買ってしまう
- 同じような保険に、いくつも入ってしまって、月々の支払いが・・・
このようなことが考えられるわけです。
正常な判断のもとに「ムダ使い」をしている人は問題ありませんが、正しい判断ができずに「それゆえにムダな出費」をしているのであれば、それは食い止めなければなりません。
成年後見制度は本人の利益を守るためのものだからです。そして成年後見人は「本人の考えを尊重しつつ」これまでと同じように「自分らしい生活を送れるように支援する」ことが役目だからです。
成年後見人のやるべきことが、「うっすら」と見えてきたのではないでしょうか。
2.2 成年後見人の仕事は「本人」を知ることからはじまる!
でも、「自分らしい生活」ってなんだろう。このように思ってしまいますね。一瞬、戸惑ってしまう言葉です。でも、安心してください。簡単なことです。
あなただったら「本人にとって自分らしい生活」とはどういうものなのか、どのように見極めますか?
- 近所の人の生活と比較する
- 国民の平均年収から導き出す
- ん~、なんとなくこれくらいだろう
これではダメですよ。
まずは、本人(成年被後見人)を知ることからはじめます。本人に、これまでと同じように「自分らしい生活」を送ってもらうためには、これまでの本人の現状を知る必要があります。
たとえば、本人が「どれくらいの財産を持っているのか」「毎月どれくらいの収入や支出があるのか」現在、「財産はどのようになっているのか」実際には「だれが管理しているのか」などを調べ、頭に叩き込みます。
いきますよ。
2.3 財産目録と収支状況報告書を作ろう!
どのような「財産」を持っているのか、ピックアップしましょう。
【財産】
- 現金
- 預貯金
- 不動産
- 車
- 株
- 保険
- 時計や宝石などの貴金属
などなど
これらをリスト化します。このリストアップしたものを「財産目録」といいます。
次に、どれくらいの「収入」や「支出」があるのか把握します。
【収入】
- 年金
- 賃貸収入
- 配当金(株や投資信託などの)
【支出】
- 家賃
- 光熱費
- 医療費
- 介護費
- くすり代
- 消耗品の購入代金
- 電話代
- 税金
- 保険料
など
これをリスト化し、まとめたものが「収支状況報告書」です。
2.4 成年後見人の仕事は、特別なことをするわけではない
ふだんは意識していないと思いますが、あなたも「自分の財産がどれくらいで、収入や支出がこれくらいある」といった前提のもとに「夕飯の買い出し」や「洋服代」を決めているわけです。
その当たり前のことを、本人(成年被後見人)に対しても応用すればいいだけです。ここまでの調査が終わると、本人のこれまでの生活習慣が見えてきます。
それが見えてくると、「ムダ遣い」と「それ以外」の区別がつくようになり、ひいては本人の不当な財産の減少を食い止めることができるようになっているということです。
本人は判断能力がなくなっているため、自分で銀行のお金を引き出すこともできません。病院に行って、治療に関する契約やその支払いをすることもままならないでしょう。
これでは本人は安心した生活を送ることができません。
そこで安心した生活を送れるように、本人に代わって銀行取引や病院との契約をする権限が成年後見人に与えられているわけです。
この権限にもとづく行動こそが「財産管理」です。
そしてこれに身上保護の要素を取り入れ、本人の長期的な生活プランを作っていきます。
2.5 財産管理のまとめ
成年後見人に選ばれ、最初にする仕事が、この「財産目録」と「年間の収支状況報告書」を作ることです。
多くの人が、ただ書類を作るだけになってしまっています。なぜ、これらの書類を作っているのかという視点を見落としてしまっている人が多くいます。
成年後見人の仕事とは、本人の生活プランを立て「本人の財産を守り」「平穏な生活を送るサポートをする」ことです。
財産目録や収支状況報告書は、それを達成するための手段にすぎないことを忘れないようにしましょう。
※ 財産目録と収支状況報告書の裁判所への提出について
民法
後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、以下省略後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
法律では、これらの書類の作成は義務付けていますが、家庭裁判所への提出までは求めていません。
しかし裁判所の運用では提出まで求められるケースが多いでしょう。
3 身上保護|本人が平穏に生活を送れるようにサポートするとは?
もうひとつの成年後見人の仕事である「本人が平穏に生活を送れるようにする」について考えてみましょう。
この成年後見人の仕事とは、ふだんの生活における様々な選択を自分では決められなくなった本人の「住まい」や「医療」や「介護」に関する決断をサポートすることによって、本人が安心して生活を送れるようにすることです。
このサポートを、身上保護(または身上監護)といいます。
では、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。これも、財産管理と同じように特別なことはありません。
実感しすいように具体例を紹介します。
3.1 身上保護の仕事を具体例で学ぼう!パート1
例1)本人がアパートを借りて生活をしている場合
アパートを借りると賃料を払います。これを怠ると延滞になり、最悪の場合、家を追い出されてしまいます。アパートに住み続けるためには、家賃を払わないといけません。当然ですよね。
「でも、だれから借りているのかもわからない・・・」
これでは家賃も払うこともできません。でも、、、払わないと追い出されてしまう、、、
本人が、これまでと同じように生活を続けてもうらうためには家賃を支払う必要があります。この家賃を払うためには「何を」知る必要があるでしょうか。
家賃を払うためには、
- 誰から借りているのか
- 家賃はいくらなのか
- 誰に支払うのか。オーナー?管理会社?
- 支払いは、振込みなのか、口座引落しなのか、それとも持参なのか
- アパートの管理規約で、住人が定期的に行っていることはないか
このような情報が必要で、これらを元に家賃を支払える環境が整うわけです。これは自分のことであれば、誰もが当たり前にやっていることです。
この当たり前のことをサポートし、本人が安心して生活を送れるように住まいを確保することも、立派な「身上保護」です。特別なことは一切ありません。あなたの普段の行動と同じことをすればいいのです。
誰にとっても当たり前の日常生活を、本人にも当たり前のように送ってもらうように配慮することが身上保護なのです。
3.2 身上保護の仕事を具体例で学ぼう!パート2
例2)本人が訪問看護を受けている場合
訪問看護を利用している人の目的は、
- 定期的な体調のチェックをしてもらえる
- 日常のお風呂や体を拭いてもらうのも、看護師さんなら安心できる
- 服薬の管理もお願いできる
- いざという時は、すぐに処置してもらえる
とさまざまだと思いますが、サービスが止まると誰でも困ってしまいます。
契約を継続しもらうためには、「何を」知る必要があるのでしょうか。
- どの機関を使っているのか、訪問看護ステーション?病院?診療所?
- どんなペースで訪問してもらっているのか
- メインとなる担当の看護師さんは誰なのか
- 連絡先は?
- 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などにも来てもらっているのか
このような情報が必要になるでしょう。この情報をもとに、訪問看護サービスを受けられる体制を確保していきます。
3.3 身上保護のまとめ
この2つの具体例のように、本人が平穏に生活を送れるようにサポートすることが身上保護です。
これを実現するためには、本人が受けているサービスの利用状況や生活習慣を理解しないとできませんよね。それを知ることが、身上保護の第一歩です。
また自宅において、ひとりで生活することが難しくなってきたので「老人ホームに入居させたり」「デイサービスを利用したり」と本人が生活しやすいようにサービスを切り替えることも、大切な身上保護になります。
この「身上保護」と先の「財産管理」を組み合わせながら長期的な生活プランを立てます。
本人(成年被後見人)の状況が大きくが変われば、プランを練り直します。
これを繰り返すことが「成年後見人の仕事」なのです。
4 まとめ
ここに書かれている成年後見人の役割をイメージできれば、それは成年後見人の仕事を9割わかったのと同じです。具体的な仕事内容を丸暗記するのではなく、成年後見人の役目を理解しましょう。
それができれば、どのような場面でも自分で「考え」「行動」できるようになります。
財産管理や身上保護(身上監護)という言葉を覚える必要はありません。成年後見人とは、何を実現するために存在し、どのような役目があるのかを忘れないようにしましょう。
それを意識していれば、成年後見人として何をすべきか見えてきます。
では、最後に質問します。
成年後見人とは何をする人ですか?
本人が私たちと同じように「普通の生活」を送れるように支援する人が、成年後見人です。