離婚の相続問題~頭を悩ませる前に知っておくべきこと~
30年、40年前の日本なら、離婚される方もそんなに多くありませんでした。
しかし、明石家さんまが大竹しのぶと離婚して「バツイチ」という言葉が広まり、安室奈美恵が離婚という選択をしたあたりから、夫婦の価値観が合わない場合に「離婚」という選択をされる方が増えたように感じます。
これは離婚が良いとか悪いとかではなく、それだけ日本人の価値観が多様化した証拠だと思います。
このような「離婚」ですが、離婚は役所へ行って「離婚届」を提出して「はい、終わり」というような単純なものではありません。
びっくりするくらいの資産を持った芸能人なら、金銭的な部分や将来の暮らしに不安がないでしょうから「はい、おわり。後は必要なら言ってね」で終われるでしょう。
でも、一般的には、そうはいきません。
親権。
養育費。
慰謝料。
このようなことも大切です。
そして、
住まいをどうするか。
結婚生活で一緒に築いたものは?
こういった財産に関わる部分についても大切です。
今回は、離婚で起こる相続問題についてお話していきたいと思います。
1: こんな方は離婚と相続について知っておきましょう
離婚の相続問題について知っておかれた方が良い方は、次のような方です。
- これから離婚を考えている方
まだ離婚届は出していないし、相手にも話していないけれど、着々と水面かで事を進めている人です。
- 現在離婚準備中の方
まさに離婚届を出そうとしている方です。
相手の反応はどうでしょうか?
冷静に話が進められそうでしょうか?
親権や養育費以外にも、財産について話し合いが出来そうでしょうか?
- 相手が離婚に同意してくれない方
相手が離婚したくないのであれば、財産などの分与に関して話すともめます。
どのように話を進めればよいのか冷静に考えましょう。
- 反対に、離婚をせまられている方
困りましたね。何が原因でしょうか?
思い当たることはありませんか?
- 離婚した前妻(前夫)との間に子供がいます
離婚手続きをしたとき、財産について話し合いましたか?
また、今の配偶者は、そのことをご存じですか?
何も知らないまま、あなたが死亡された場合、今の配偶者さんは大変驚かれることでしょう。
このような方は、離婚における相続について知っておいてもらいたいです。
というのも、最後のケースのように、前妻(前夫)との間にお子さんがいらっしゃる場合、きちんと相続対策をしておかないと、今の配偶者やお子さんがびっくりされる場合もあるんです。
あなたが死亡した後、どこの誰だかわからない人が「遺産があると聞いたのですが・・・」訪ねてこられるのですからね。
こんなトラブルの原因になりそうなことは、生前にきちんと整理しておきましょう。
2: 離婚手続きにもいろいろあります
さて、離婚の手続きにもいろいろあります。
お互い、平和的に離婚手続きができる場合と、もう最悪なドロドロの状態になる場合と。
順に見ていきましょう。
(1)協議離婚
お互いの合意の元に婚姻解消を行うことです。
裁判所などを通さずに、お互いが離婚の届け出を市区町村へ提出するだけで終わります。
この離婚がもっとも平和で(心の中は複雑だと思います)、財産相続に関しても冷静に話し合いができるケースです。
もし、一緒に住んでいた住宅を財産分与として、離婚相手に渡す場合には、所有権移転登記を行うことで終われます。
今まで、共に築いた財産ですから、気持ちよく終わりたいものです。
(2)家庭裁判所での調停で離婚する場合
協議離婚ではない場合、離婚について何らかの相違があるということです。
このような場合、家庭裁判所にて調停を行います。
家庭裁判所でお互いの主張を聞き、アドバイスなどを行った後、お互いが納得して離婚に合意すれば「調停離婚」となります。
まだ、平和的な離婚の範疇だと言えるでしょう。
お互い、聞く耳を持っている状態ですから。
しかし、調停離婚が成立しないこともあります。
その場合は、家庭裁判所が審判をする「審判離婚」となります。
さらに、審判離婚でも離婚が成立しない場合には、家庭裁判所が判決によって離婚を成立させる「裁判離婚」になります。
最後の2つの状況に入ると、まず平和的離婚は無理でしょう。
そして、相続問題も紛争となり、弁護士さんに登場していただくことになります。
離婚手続きにも、このように種類があります。
そして、手続きの種類によって相続がスムーズに行くかどうかも、ある程度はわかってきます。
3: 離婚による財産分与
離婚の手続きについて見てきました。
いよいよ次は、離婚による財産分与についてです。
まず覚えておきたいのが、離婚による財産分与の「財産」とは何かということです。
これは、次のように定義されています。
『婚姻中に共に協力して築いた財産』
このような財産を離婚のときに精算するというのが、離婚による財産分与なのです。
そして、もう一つ知っておいていただきたいのが、離婚による相続人はどうなるのかということです。
例えば、
離婚した前妻(前夫)は相続人にならない(相続権はありません)。
しかし、
離婚した前妻(前夫)との間の子供はというと、あなたに親権がなくても相続人になります(相続権があります)。
この違いは、どこで起こっているのかというと「血縁」です。
夫婦は元をただすと他人ですから、婚姻関係がなくなると縁を切ることができます。
言い換えれば、他人同士へ戻ることができます。
一方、子供の場合は「血のつながり」があります。
そのため縁を切ることができません。
連絡を一切取らないということは可能ですが、縁を切ることはできません。
そのため、次のようなケースが生まれることもあります。
例)
夫はバツイチで前妻の間に男の子が1人
今の妻との間に子供が3人。
このような場合、夫が亡くなり財産を相続しようとすると、相続権をもっているのが、
- 今の妻
- 今の妻との間の子供3人
- 前の妻との間の子供1人
このような場面を想像してみてください。
テレビドラマで起こりそうなシーンです。
そして、多くの場合、遺産分割協議(遺産を分割するための話し合い)は難航することでしょう。
だって、今の妻との間の子供3人は、前の妻との間の子供を知りませんから。
反対に、前の妻の子供さんも、今まで会ったこともない今の妻や子供さんから「遺産相続するからココに判子ください」と言われても戸惑います。
このようなことを起こさないためにも、離婚のときにきちんと遺言を残すとか、後で紛争にならないような相続をしておくのがおすすめです。
4: 誰に離婚の相続問題を頼むのが正解なのか
協議離婚により解決できそうで、財産に不動産をお持ちなら(戸建て住宅などですね)、不動産に関する手続きや相続に関する手続きが専門の司法書士へご相談ください。
不動産がない場合であれば、行政書士さんという方法もあります。
協議離婚では解決できない場合、紛争が見えているのなら、弁護士さんが適任です。
ただ、いきなり弁護士さんへ相談するのはちょっと、、、。
弁護士さんに知り合いもいないし、、、。
というような場合は、司法書士へご相談ください。
私たちは信頼できる弁護士さんを紹介することもできますので、あなたの離婚手続きや相続手続きをサポートすることができます。
5: まとめ
可能なら、せっかくのご縁で結婚したのですから離婚しないのが一番です。
でも、そうは言っていられないという現実があることも理解できます。
離婚は回避できないとしても「立つ鳥跡を濁さず」です。
後々ごたごたして後味の悪いことにしないために、財産を相続するものはお互いに納得のいく分配をして、きれいにすっきりした気持ちで新しい人生を進んでもらいたいと思います。