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【失敗体験談2】成年後見人には甘い誘惑がいっぱい

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成年後見人は本人の意思を尊重しながら本人の生活をサポートすることが役目です。

 

はじめのうちは誰もがこの意識を持っています。それが成年後見人の仕事に慣れてくると心にスキが生まれ、この初心を忘れることがあります。

 

今回は、そんな心の緩みから過(あやま)ちを起こしてしまった失敗事例をご紹介したいと思います。

1 成年後見人には甘い誘惑がいっぱい

オンエアー

【登場人物】
A   ・・・被後見人になる人
B   ・・・Aの甥(おい)で後見人になる人
C   ・・・Aの姪(めい)

10年前に奥さんを亡くしてから自宅でひとり暮らしをしているA(82歳・男性)さん。子供はいません。

 

弟がいましたが5年前に他界し、Aの身内はその弟の「息子B(Aの甥)」と「娘C(Aの姪)」のふたりだけです。

 

ふたりともAと同じ市内に、それぞれの家族と暮らしています。

 

膝の痛みから思うように動けないAは、身の回りの世話や買い物はヘルパーさんの助けをかりています。

 

病院までの送り迎えは、甥Bと姪Cが交代でやっていました。

 

1.1 Aさんに認知症の症状があらわれる

ある日、病院から自宅に帰る道中で、Aの言動がおかしくなります。

 

病院の駐車場を出発してから10分ほど車を走らせ信号待ちをしていると、真顔でAは甥Bに語りかけます。

 

「ヘルパーに現金を盗られている」

 

甥Bは、一瞬なにを言っているのか理解できませんでした。「冗談を言っているのか」と頭をよぎりましたが、Aの表情を見るかぎり、そうではないようです。

 

何か勘違いしているだけだろうと思ったBは、「ヘルパーさんには、あとで詳しく話を聞いてみるよ」とAに伝え、とりあえずその場をやり過ごしました。

 

それから数日後、Bさんの携帯電話へ、知らない番号から電話が入ります。

 

「世田谷警察署の山田と申します」

 

警察から電話!
なんのことかわからず、頭が真っ白になるB。

 

Aさんが警察に、ヘルパーにお金を取られていると相談したようです。甥Bと警察官は、ヘルパーから話を聞き、通帳や現金の出入りを一つ一つ確認していきます。

 

調査の結果、何も盗まれていないことがわかりました。すべてAさんの妄想だったのです。

 

1.2 老人ホームを探すことに

「甥B」と「姪C」と「ヘルパー」の3人は、話し合いの場を設けることにしました。

 

ヘルパーさんの話しだと、最近は飲むはずの薬が残っていたり、逆に足りなくなったりすることが頻繁にあるそうです。

【ポイント】

このように日々の薬の管理ができなくなっている状態は、認知症のサインかもしれません。

認知症を疑った3人は、病院で検査をすることにしました。

 

その結果は予想どおり。

 

それからも冷蔵庫にリモコンが入っていたり、リビングテーブルに近所の喫茶店のメニュー表が置いてあったりと、認知症の症状が加速する一方です。

 

自宅でのひとり暮らしは限界です。

 

「介護つきの老人ホームを探したほうがいいのかもしれない」

 

Bは下を向いたままCにボソッと言います。BとCは有料老人ホームを探すことにしました。いざ探そうと思っても、どう見つければいいのかわかりません。困ったBとCは、近所で老人ホームを利用している人がいないか聞き込みをしながら、インターネットをくまなく探します。その甲斐あって良さそうな老人ホームを見つけることができました。

 

1.3 成年後見開始の審判を求め、申し立てへ

Aのために見つけたその老人ホームの入所金は520万円。

 

そのお金を用意するため、Aの通帳を握りしめBとCは、銀行に向かいます。

 

  • 「A本人でないと引き出すことも、振り込むこともできません」
  • 「A本人がそのような状態だと成年後見人をつけてください」

 

銀行員からこう告げられます。

 

預金を入所金に充てるために、甥Bを成年後見人とする後見の申し立てを行い、裁判所に認められました。

 

すぐにBは銀行へ向かい、成年後見人として銀行取引ができるように職員の指示に従い諸手続をすませます。

 

Bは、成年後見人として本人の財産を自由に使えることに驚きます。

 

  • ATMではなく銀行の窓口でも簡単に預金を引き出せる
  • 定期預金の解約も、自分の口座のようにスムーズ
  • 細かく理由を聞かれることもない

 

裁判所の講習を受けたばかりの頃は「成年後見人としてAをサポートするんだ」と意気込んでいましたが、時間が経ち仕事に慣れてくるとその気持ちが薄れてきてしまいました。

 

心にスキができた甥B(後見人)は軽い気持ちで、Aの財布から1000円を借りてしまいます。

 

あとで返すから問題ない

 

自分に言い聞かすように心の中でつぶやきます。

 

最初は借りているだけでした。それがいつの間にかお金を返さずに自分ために使うようになっていました。金額は1000円にも満たない少額ですが立派な横領です。

 

Aに子供はいない。(Aが亡くなっても)自分たちが相続人なのだから問題ない

 

Bのこの考えが良心のブレーキを壊してしまいました。

 

金額も1000円から1万円、5万円、そして10万円と大きくなり、後戻りができる状態ではありません。この金額になると家庭裁判所への報告もつじつまが合いません。

 

その結果、使途不明金が256万円に膨れ上がっていました。

 

Bは成年後見人を解任され、別の専門職後見人が選ばれました。

 

2 アドバイス

指示棒で教えている人

  • 成年後見人は、本人の利益を保全することが仕事です。
  • 本人の財産を守り、本人が安心して生活が送れるようにサポートすることが役目です。

 

この考えを忘れてはいけません。

 

成年後見人は家庭裁判所の監督を受け、財産の記録(登記事項証明書や通帳の写し)と年間の収支報告書を提出し、不正がないかチェックを受けることになります。

 

バレずになんとかなる

 

このようなことは絶対にありません。横領や不誠実な態度などは、必ず明るみでます。

 

成年後見人の横領事件は後を絶ちません。実はその大半が親族後見人と言われています。

 

家族の間では、「自分の財産」と「ほかの家族の財産」を明確に分ける習慣がないのもわかります。

 

「お金を貸した」「お金をもらった」という意識を忘れ、お金を移動させてしまいます。本人が元気なうちはそれでも問題ありません。それは本人の了承のもとに行われているからです。

 

しかし、本人に判断能力がなくなり成年後見制度を利用したあとは、本人と成年後見人の財産は明確に区別をし、領収証を大切に保管し、出納帳をつけるようにしましょう。

 

3 まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

ここで紹介した成年後見人B(Aの甥)の取った行動は許されることではありませんが、特別なものではありません。

 

誰がこのような行動に出てもおかしくありません。

 

「私はきちんとしているから大丈夫」

 

そう考えたあなたは危険です。「もしかしたら自分も誘惑に負けてしまうかもしれない」と考え、常にそういうことが起きない環境を作ることを心がけましょう。

 

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